
「パンダが中国に返還される」というニュースを目にする度に、寂しい思いをされる方は多いのではないでしょうか。
2025年6月現在、日本にいるパンダは上野動物園のシャオシャオとレイレイの2頭のみとなっています。
「彼らがいつまで日本にいるのか?」は、パンダファンにとって注目のトピックの一つですよね。
本記事では、シャオシャオとレイレイの返還期限をお伝えしたうえで、これから先の日本のパンダ事情を予想します。
日本からパンダがいなくなる?
ここ数年、日本にいるパンダが中国に返還されるニュースが続いています。
2023年に上野動物園のシャンシャンとアドベンチャーワールドの永明ら3頭が返還されたことを皮切りに、多くのパンダが日本を旅立ちました。
2024年には上野動物園で長年親しまれてきたリーリーとシンシンが返還され、2025年6月にはアドベンチャーワールドで飼育されていた良浜とその娘たち3頭が一斉に返還されました。
これによりアドベンチャーワールドでは31年ぶりにパンダが不在となったため、日本国内に残るパンダは、上野動物園の双子パンダ「シャオシャオ」と「レイレイ」のみです。
この2頭にも返還期限が設けられているため、パンダファンからは「日本からパンダがいなくなる日も近いのではないか」と心配する声が高まっています。

日本からパンダがいなくなるかもしれない……。
シャオシャオとレイレイの返還期限
シャオシャオとレイレイの返還期限は、2026年2月20日です。
2026年2月20日(金)
上野動物園で生まれたパンダは、東京都と中国野生動物保護協会間の協定において、生後24か月で中国に返還することが定められています。
この取り決めはあくまでも目安であり、過去の事例を見るに、具体的な日程は協議の上決定されるのだと考えられます。
シャオシャオとレイレイが生まれたのは2021年6月23日で、先日4歳の誕生日を迎えているため、いつ返還されてもおかしくない状況でした。
双子の具体的な返還期限はもともと公開されていませんでしたが、2024年にリーリーとシンシンの返還が決まった際にあわせて発表されました。
日本生まれのパンダが中国に返還される理由

そもそも「どうして日本で生まれたパンダが中国に渡る必要があるのか?」と疑問に感じる方も多いことでしょう。
その答えは、日本にいるすべてのパンダは中国に所有権があるためです。
パンダはワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)によって国際取引が規制されており、諸外国に渡る際は繁殖を目的としたレンタルの形を取っています。
そのため、レンタルされたパンダのつがいの間に子どもが生まれた際も、所有権は中国にあるのです。
上野動物園のシャオシャオとレイレイも例外ではなく、中国籍となっています。
繁殖に適した年齢に達したこのタイミングで、パートナーを探すために中国へと返還されるのです。
上野動物園のパンダを巡る今後の可能性
双子の返還期限の通り、2026年には上野動物園からパンダがいなくなってしまうのでしょうか?
上野動物園のパンダを巡る展開に、今後どのような可能性があるのかを考えてみました。
①双子の返還期限が延長される
シャオシャオとレイレイが返還されると日本からパンダがいなくなってしまうことから、それを避けるために返還期限が延長される可能性も考えられます。
現代中国外交を専門とする駒澤大学の三船恵美教授は「日本というパンダ外交が実に有効的に機能している国家に対して、ゼロにしてしまうということは、なかなか考えにくい」と語っています。
パンダの返還期限が延長される事例は過去にもあったため、中国との協議の結果、2026年2月までに何かしらの発表があるかもしれません。
②新しいパンダがやってくる
シャオシャオとレイレイが返還される代わりに、新しいパンダがやってくる可能性も考えられます。
東京都の担当者は「長年、パンダの飼育をしてきた実績を中国側に理解してもらい、2頭の返還後に別の個体を預からせてもらうことも含めて調整していくことになる」と話しています。
他国でも類似のケースがあり、アメリカのスミソニアン国立動物園では、2023年11月に3頭のパンダが中国に返還されました。
それから1年ほどパンダ不在の時期が続いていましたが、2025年1月には中国から新たな2頭がやってきて、歓迎ムードが広がりました。
③一時的にパンダがいなくなる
残念ながら、上野動物園にパンダ不在の時期が訪れるおそれもあります。
上野動物園では、2008年にリンリンが死亡してから、2011年にリーリーとシンシンがやってくるまで、約3年間パンダがいない状態だった時期がありました。
シャオシャオとレイレイが返還されたのち、再びしばらくの間、上野動物園でパンダが見られなくなるかもしれません。
パンダ誘致を進める地域
現在、上野動物園以外にも茨城県日立市や宮城県仙台市など、複数の自治体がパンダの誘致に向けて動いています。
しかし、パンダの莫大な飼育費用や適切な飼育環境の整備、中国側との協議など、多くのハードルがあるため、実現への道のりは決して簡単ではありません。
もしも、どこかの自治体がパンダの誘致に成功すれば「日本にいるパンダが0頭」という未来は回避できます。
現在は「パンダといえば上野動物園」ですが、そのイメージも10年後には変わっているかもしれません。
まとめ
・シャオシャオとレイレイの返還期限は2026年2月20日
・日本にいるすべてのパンダの所有権は中国にある
・返還期限の延長されたり新しいパンダがやってきたりする可能性がある
・上野動物園以外にもパンダの誘致に動く自治体が複数存在する

2026年2月に返還されるよ。
<参考資料>
・FNNプライムオンライン
・朝日新聞
・日立市公式サイト
・仙台市公式サイト