象徴種という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ジャイアントパンダは象徴種に指定されており、環境保護を促進させるシンボルとして用いられています。
今回は象徴種の概要を説明した上で、ジャイアントパンダが指定されている絶滅危惧種やアンブレラ種、中国国家一級重点保護野生動物についてもあわせて紹介します。
象徴種
ある地域の環境保護を促進するために、象徴として置かれる生物種のことを、象徴種とよびます。
英語では「Flagship species」とよばれ、フラッグシップ種や旗艦種(ほうかんしゅ)とも訳されます。
保護活動への関心や資金を集める手段として用いられるものの、象徴種を指定する特定の団体があるわけではなく、学術的または法的な分類ではありません。
象徴種には絶滅危惧種や、その生態系の頂点に立つ哺乳類や鳥類が指定されることが多いですが、稀に昆虫や植物が選ばれるケースもあります。
環境保護促進に用いられるのか~。
WWFとジャイアントパンダ
世界中の様々な団体が、世間に環境保護への関心を持ってもらうために、象徴種を用いた活動をおこなっています。
世界最大規模の自然保護団体である国際NGO「WWF」は、1961年の創設時より、ロゴマークにジャイアントパンダを用いています。
WWFは国際的なネットワークを持っており、1971年には日本を活動拠点とする「WWFジャパン」が設立されました。
WWFのロゴマークになっているよ。
ジャイアントパンダが指定されている生物種の分類
ほかにはどんな種に指定されているのかな?
ジャイアントパンダが指定されているのは、象徴種だけではありません。
その特徴的な見た目と絶滅危惧種である希少性から、野生のジャイアントパンダが生息する中国をはじめ、世界中から重要な種であると認識されています。
ジャイアントパンダが指定されている生物種の分類には、象徴種のほかにどのような種類があるのでしょうか。
象徴種以外の分類について、一つひとつ解説します。
絶滅危惧種
ジャイアントパンダと聞いて、最初に思い浮かぶ種の分類は、絶滅危惧種です。
絶滅危惧種とは、国際自然保護連合(IUCN)が作成する「レッドリスト」に掲載されている種のことで、絶滅のリスクに応じて以下のカテゴリーが設定されています。
Extinct(EX) | 絶滅 |
Extint in the Wild(EW) | 野生絶滅 |
Critically Endangered(CR) | 深刻な危機 |
Endangered(EN) | 危機 |
Vulnerable(VU) | 危急 |
Near Threatened(NT) | 純絶滅危惧 |
Least Concern(LC) | 低懸念 |
Data Deficient(DD) | データ不足 |
Not Evaluated(NE) | 未評価 |
狭義では、絶滅危惧種という言葉をEN(危機)に分類される種のみに用いる場合もありますが、VU(危急)以上の種は、いずれも絶滅のリスクに直面しているといえるでしょう。
ジャイアントパンダは2024年現在、VU(危急)に分類されています。
アンブレラ種
アンブレラ種は、ある地域における食物連鎖の頂点に立つ種のことです。
ジャイアントパンダは、野生の種が生息している、中国の一部地域におけるアンブレラ種と見られています。
アンブレラ種を保護することは、その地域の生態系の保全に繋がると考えられています。
中国国家一級重点保護野生動物
中国が野生生物保護法という法律に基づいて定めた、特に保護が必要とされる種のことを、中国国家一級重点保護野生動物といいます。
中国国家一級重点保護野生動物は200種以上にのぼり、ジャイアントパンダのほかにアジアゾウやトラなど、多くの種が指定されています。
まとめ
・象徴種ある地域の環境保護を促進させる生物種
・WWFのロゴマークはジャイアントパンダ
・絶滅危惧種やアンブレラ種というグループもある
・ジャイアントパンダは中国国家一級重点保護野生動物
ジャイアントパンダは象徴種だよ。